「食を営む力」の基礎に欠かせない毎日の給食や調理室の役割

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食器プロPlusキッズ! コラム

食を営む力をはぐくむためにできること

子どもに話しかける栄養士
なにげない会話も食育の第一歩

食を営む力」の基礎に欠かせない毎日の給食や調理室の役割

午前の遊びの時間を楽しんでいると、調理室から「いい匂い」がしてきました。
「なんだかおなかがすいてきた〜」
「あー、きょうはきっとカレーだよね、せんせい!」
「カレーならきのうたべたよ〜」
「カレーってぼくのすきなジャガイモがはいってるんだよ」
「わたし、ママといっしょにつくったことあるよ〜」

これがまさに食べものを話題にするこどもの環境であり、「いい匂い」をきっかけに先生と子どもたち、そして調理室の窓から顔をのぞかせる栄養士やスタッフなど働く人々も巻き込み、様々な展開が広がっていきます。まさに「調理室は食育の教材」なのです。

厚生省が進める食育の指針  5つの子ども像

子どもたちとの会話も、食育の指針として目指すべき「5つの子ども像」に沿った会話が自然と出てきますね。年長児クラスとなれば「食事づくり、準備に関わる子ども」の実践にも十分に活かせます。使い慣れた食器や食具は教材として活用でき、「乱暴に扱うと割れてしまう」「器に盛られた食事は、丁寧にゆっくりと運ばないとこぼれる」など、食器を通しても基本的な食育の経験が生まれることでしょう。

参考:「楽しく食べる子どもに-保育所における食育に関する指針」(概要)(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0604-2k.pdf)2004

5つの子ども像 楽しく食べる子どもに
厚生省が進める食育の指針 5つの子ども像
笑顔でおいしいね!をいっしょに
  • 養護的側面
    • 生命の保持、情緒の安定
  • 教育的側面
    • 健康人間関係、環境、言葉、表現

養護的側面・教育的側面の両面から見ても、食器や食具の使い方に加えて大切なもう一つの要素はコミュニケーションです。「おいしいね、一口でも食べてみない?」「○○ちゃんに食べて〜って話かけているよ」などの声がけをはじめ、安心して食べられる環境や笑顔が溢れる空間で子どもの育ちを応援していくことが、何よりの食育の実践ですね。

筆者紹介

隅弘子(子どもの食の専門家/mamaful代表)
一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター
一般社団法人母子栄養協会幼児食/学童食/妊産婦食アドバイザー認定講師/管理栄養士
子育て中の母子を食からの視点で支援することを目的に「mamaful」として活動開始。子育て支援施設内での食事相談や離乳食・幼児食教室をはじめ、子育て支援ボランティア養成研修・専門学校講師などを務める。栄養学に発達心理などを組み合わせ、「食べる楽しさ」や「げんきを作る食べ方」を伝える活動を得意としている